2013年1月18日金曜日

これはかりそめの,間違った世界。「放課後ライトノベル」第117回は『も女会の不適切な日常』で適切な日

 出版不況と言われる中で,安定した売り上げをキープし続けるライトノベル。新規に参入する出版社も多く,この連載でも紹介しているように毎年さまざまな新レーベルも誕生している。しかし,光あれば影あり。新たなレーベルが産声を上げる一方で,ひっそりとその生涯を閉じるレーベルも存在する。今日はそうしたレーベルの話をしよう。  むかしむかしあるところに,「富士見ミステリー文庫」というライトノベルレーベルがありました。その名のとおり「ミステリー」を中心とした,今振り返っても斬新なコンセプトのレーベルで……と書きかけたところで,担当編集から「それ の時にもうやった」と言われてしまったが,違うんです! 富士見ミステリー文庫は『GOSICK ゴシック』以外にも,さまざまな功績を残しているんですよ!  中でも注目したいのが新人賞。虎は死して皮を残すと言われるように,富士見ミステリー文庫の新人賞は,現在も活躍する作家を多数輩出している。というわけで今回の「」で紹介するのは,かつて「富士見ヤングミステリー大賞」の大賞を受賞した海冬レイジによる,『も女会の不適切(アイ?ド?ラ)な日常』だ。タイトルからして日常系を予感させるが,果たしてその実態は……。 『も女会の不適切な日常3』 著者:海冬レイジ イラストレーター:赤坂アカ 出版社/レーベル:エンターブレイン/ファミ通文庫 価格:672円(税込) ISBN:978-4-0863-0701-7 ●モテない女子=〈も女〉たちによる不適切な日常  エスニカ誠心学園に存在する謎の部活,「もっと学園生活を豊かにする善男善女の会 部」,Lineage2 RMT。「会」なのか「部」なのかすらよく分からず,その活動内容も青春を謳歌するという名目で,放課後に楽しくおしゃべりしたり,演劇したり,ポエムを書いたり,セパタクローをしたり,いろいろなイベントに首を突っ込んだりとよく分からない。そんな実態不明の部活に周囲がつけた通称は〈も女会〉。  も女=喪女=モテない女性。というわけで,も女会にはモテないどころか世間から遠巻きに扱われるレベルの女子が集まっていた。腐り気味で,Diablo3 RMT,何かとゲスい性格なのに無駄に活動的な千種(ちぐさ)エスニカ,“ガノタ”でツンデレで暴力的な須唐座有理(すからざゆうり),化学大好きで人体実験もいとわないマッドなサイエンティストの大洞繭(おおぼらまゆ),学校には姿を見せないのに盗聴盗撮を駆使して部内の様子を逐一チェックしているストーカー女子
関連トピック記事:

0 件のコメント:

コメントを投稿