。二本足状態でボディを支えるためには,二足立ちするしかなかったということだ。この様子は動画でも確認できるので注意深く見てほしい。 白子氏は「このときは『クララが立った』以来の衝撃でしたよ(笑)」と冗談交じりに当時を振り返る。最終的に,「これはプレイヤーに大きな驚きを与えられる」ということでゲームの最終仕様にも組み入れられたのだそうだ。 このほか,動画中盤のクラゲ型ボスでは,下がアーティストが作り込んだ攻撃モーションで,上半身はプロシージャルアニメーションシステムによる動きになっているとのこと。 そのほかのボス戦においても,歩行や攻撃モーションは,平らな地面でアーティストが制作しておいたものを,ランタイムではプロシージャルアニメーションシステムにより,環境に適合した高さに補正して,脚部を設置させているとのこと。また,ボス達の移動や攻撃行動中の「やられ」モーションについても,プロシージャル生成しているとのこと。 バイナリードメインでのプロシージャルアニメーションシステムを自らの身体を使って解説する白子氏 三つの視点からの「リアル」 三宅氏は「バイナリードメインのような,アニメーションシステム側が独立してプロシージャルに身体制御を実践するような実装は,厳密にはAIとアニメーションシステムが相互連携しているとは言えないかもしれない」と指摘する。 つまり,DQ10 RMT,バイナリードメインの蜘蛛型ボスの例でいえば,攻撃不能にならないように絶えず攻撃部位を安定した姿勢に保とうとするプロシージャルアニメーションが行われたにすぎず,AI側は一定リズムでフィールド内を歩き回り,常にプレイヤー側を攻撃するための意志決定しか行っていない。 しかし,「ボス戦」という状況を考えれば,バイナリードメインの仕組み自体に無駄はない。しかも,ゲーム体験として,プレイヤーに「リアルに感じる」と満足させられれば,それは現世代機でできる範疇では正解ということはできるだろう。 これを機に,話題は,ゲーム体験の基本かつ重要な要素の一つである「リアル」というキーワードと,AI,アニメーションとの関係性へと移っていく。 三宅氏は,ゲームにおける「リアル」体験とは三つの視点からのものがあると指摘する,ドラゴンクエスト10 RMT。 一つめは「プレイヤーにとってのリアル」。バイナリードメインはまさにこれを優先した産物だと言える。 二つめは「アーティストから見たリアル」。これは実在する人間やモノの動きとは違う,多分に演出要素を含んだもので,オーバーアクションなどはこの部類だ
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